指導歴30年以上、TOEICスコア805点で英検準一級も保有する、歌って弾けるピアノ教師が記事を書いています♪

小さな手でもピアノを弾くための方法とは?


ピアノが上達することは、とても嬉しいことです。でも、手の小さい人が必ずぶつかる壁というものが存在します。

中級から上級のピアノ曲では、オクターブや和音が多くなるため、弾きにくくなり強いストレスを感じてしまうのです。

その部分の曲の流れやリズム感が悪くなったり、オクターブの小指側を強く押せず、歌う表現が難しくなったりします。

私自身、手の柔軟性はあるものの小さい手です。それでも、両手共に9度まで和音は掴めます。

ピアニストの中でも、中村紘子さんやマリア・ジョアン・ピリスさんなど、手が小さい方も存在します。

そこで、私の経験や生徒さんへの指導に基いた具体的な解決方法を7つお教えします。

  • 目次
  •   ① 曲を選ぼう
  •   ② 音を省こう
  •   ③ ストレッチをしよう
  •   ④ 左手を完璧にしよう
  •   ⑤ 指使いを工夫しよう
  •   ⑥ 息を吐きながら弾こう
  •   ⑦ 斜め上から弾こう
  •   ⑧ 最後に一言

① 曲を選ぼう


自分の手に合った曲を選びましょう。自分の長所を生かせる曲を選び、オクターブのある曲は極力避けましょう。

無理せず弾ける曲は、弾く時にストレスが少なくなるため、生き生きと曲を表現出来ます。

自分で選ぶのが難しくても、経験の多い先生なら、個人の手や表現力に見合った素敵な曲を選んでくれるはずです。

② 音を省こう


オクターブや和音だったら、下の音を省きます。

その代わり、メロディーラインを歌うようにキレイに弾きましょう。

多少響きが薄くなってしまいますが、音楽的に弾けていれば、そんなに違和感はありません。

また、和音を分散和音にしてしまう方法もあります。

ただ、その場合、リズムが悪くなりがちなので、手首を上手く使って自然に弾けるように何度も練習しましょう。

③ ストレッチをしよう


本当に小さ過ぎる手の場合は、上の①②の方法を取って下さい。

でも、オクターブが苦手なタイプの主な原因は『手の柔軟性と筋力の不足』によるものです。

日頃から、指のストレッチを習慣にしましょう。よくありがちな、指先だけを開くストレッチは効果が薄いです。

まず、骸骨の手をイメージして下さい。かなり下の位置から、指の骨は分かれているはずです。

ストレッチのコツは、『指の骨の分かれ目(手首上)から開き、手のひらを横に広げる』イメージです。

また、指が反ってしまうとオクターブは掴めません。指の関節を少しだけ曲げた状態で開く練習をしましょう。

イメージとしては、軽く指の関節を曲げてバスケットボールを上からつかむような形です。

また、手の柔軟性が無い人は身体も固いはずなので、身体全体をストレッチする習慣も付ければ更に効果的です。

④ 左手を完璧に


もちろん左手にもオクターブが出てきますが、右手の方がメロディーのオクターブが多いためミスが目立ちます。

そのため、出来るだけ左手の完成度を上げておきましょう。ストレスを最小限にして弾けるようにしておくのです。

手が小さいと、曲を弾く時に、どうしても右手のオクターブに神経がいってしまいます。脳が右手に集中するのです。

その時に、左手が不安定だと、曲全体が大きく崩れてしまいます。

脳の負担を減らすためにも、左手の完成度を上げることは近道になります。

⑤ 指使いを工夫しよう


出版されている楽譜の指使いは、ピアニストが指定したものです。でも、実は、適した指使いは、人により異なります。

輸入楽譜では、身体も手も大きな海外の男性ピアニストによる運指のため、小さい手で弾くのは無理な場所があります。

いくつかの出版社の楽譜を購入し、運指を見比べてみた上で、自分に合う指使いを選ぶのも方法の1つです。

「書いてある指使いをきちんと守って弾かなくてはいけない」というクラシック特有の思い込みは、まず捨てましょう。

手の大きさが違うなら、指使いも変える方が自然です。指使いを自分向けにカスタマイズしましょう。

ただ、『音楽的に弾けること』が条件です。歌えるか歌えないかを、指使いを選ぶ時の判断の基準にしましょう。

先生と相談したり、自分なりの弾きやすい指使いが決まったら、必ず楽譜に書き込み、その通りに練習しましょう。

⑥ 息を吐きながら弾こう


オクターブが苦手だと、その場所が近付くと緊張してしまい、身体が無意識に固くなります。

そうすると、手がいつもより開かなくなって、結局、弱くなったりミスタッチにつながります。メンタルの問題です。

歌う時に苦手な高音が近付くと、身体や喉が強ばり声が裏返ったりするのと全く同じ現象です。

私は、ジャズダンスやピラティスの経験がありますが、『ストレッチをする時は息を吐きながら』が基本です。

『息を吐くと身体は柔軟性を増す』ということを、常に意識しましょう。

まずは、ゆっくり息を吐きながら、丁寧にオクターブをつかむ練習から始めてみましょう。

『息を吐くこと』がポイントです。息を吐く時には、緊張感も緩められるというメリットもあります。

慣れてくると、指も広がりやすくなり、曲中でのミスも徐々に少なくなるはずです。

オクターブの場所では、『息を止めないで吐く』『上半身をリラックス』この2つを意識しましょう。

⑦ 斜め上から弾こう


私がオクターブを弾く時、特に黒鍵の混じった和音を掴む時には、少しだけ手首を上げて弾きます。

いつものポジションより2センチくらい手首を高くして、斜め上からつかむ感じです。

このやり方が合うかどうかは、個人差があると思います。まずは、色々な角度や高さを試して弾いてみて下さい。

一番自然に弾けるのが、自分に合ったポジションです。自分の身体を知りましょう。案外、突破口があるものです。

⑧ 最後に一言


私は、色々な生徒さんのピアノ演奏を見てきました。

それぞれ課題があります。指が速く動かない、繊細な音が出せない、リズム感が悪い、暗譜が苦手、という人もいます。

また、表現力不足、感情的過ぎ、テンポが不安定、というケースもあります。最初から全てが完璧な人は少ないのです。

だから、あまり悩まずに、自分の強みを磨きつつ、オクターブに徐々に慣れていって下さい。身体は変わるものです!

皆さんのピアノとの関係が、これから更に楽しくなることを祈っています。

         ミント音楽教室

オリジナルの記事を載せています。当サイト内の文章、情報(内容)、写真等の無断掲載及びリライトは、ご遠慮下さい。

記事が役に立ったり面白いと思ったら、下のSNSボタンから、お友達にシェアをお願いします。