指導歴30年以上、TOEICスコア805点で英検準一級も保有する、歌って弾けるピアノ教師が記事を書いています♪

家電とクラシック音楽


私達は、日常生活で知らず知らずに様々なクラシック音楽に触れています。その一つは家電です。

では、クラシック音楽が合図音になっている我が家の家電を3つほど紹介していきますね。

  • 目次
  •     ① 日立の洗濯機
  •     ② NORITZガス給湯器
  •     ③コロナ石油ファンヒーター
  •     ④まとめ

① 日立の洗濯機


我が家では日立のBeatWashという洗濯機を使っています。

買い替えたばかりの時に気になって仕方なかったのは、運転開始のメロディーです。

なんと、モーツァルト作曲ピアノソナタハ長調K.545第一楽章の冒頭部を使用しています。

この曲は明るく軽快なので、雲一つ無い青空を連想させます。確かに洗濯日和の音楽と言えそうです。

電源を入れると、メロディー2小節分が流れ、開始ボタンを押すと次の2小節が流れます。

原曲よりもキーを下げているので、少し落ち着いた感じになります。

ただ、メロディーの最後が主音ではなく第3音で終わっているため少しだけ中途半端な感じか残ります。

だから、私は、洗濯機のメロディーが終わったあとに、毎回頭の中で続きのフレーズを再生することになります。

また、原曲のピアノ曲は簡単そうに聴こえます。楽譜の譜読みも中級者ならそれほど時間は掛からないでしょう。

しかし、『モーツァルトのピアノ曲を素敵に弾くこと』は、実は簡単ではありません。

ペダル、曲の雰囲気、身振りでのごまかしが全く効かないからです。他の作曲家の曲で隠せた欠点が丸出しになります。

音が少ない分、美しい音を出す技術、歌い方、際立ったリズム感などが要求されます。

それは、モデルがスッピンでひっつめ髪で表紙の撮影に挑み、それでも妖精の雰囲気を醸し出すようなものです。

モーツァルトの音楽は軽やかですが、表現するには技術も必要で、元々の素材の良さ(音の美しさ)が重要なのです。

チャイコフスキーコンクールで第二位の藤田真央さんのモーツァルト演奏が絶賛されるのは、上記の理由からです。

そんなわけで、毎朝洗濯する度にモーツァルトのピアノソナタを聴かされるのは、ピアノ人間にとって少々複雑なのです。

合図音だけではモーツァルトの良さは分かりにくいので、聴いたことの無い方は是非原曲を聴いてみて下さい。

② NORITZガス給湯器


我が家ではNORITZのガス給湯器をずっと使っています。昨年、新しいモデルに変えました。

NORITZのお風呂が湧くと必ず流れるのが、エステン作曲のピアノ曲『人形の夢と目覚め』です。

この曲は、ピアノを習う子ども達にとっては、発表会で弾かれる馴染みのある曲です。

子ども向けの曲としては珍しい「子守唄」「人形の夢」「人形の踊り」の3部構成になっています。

それぞれテンポも曲想も変わるのですが、給湯器のメロディーでは、2部「人形の夢」の冒頭部分が使われています。

弦楽器をイメージさせるような歌うようなメロディーです。主音で終わっているためスッキリ感があります。

お風呂に入ったあとの心地よい眠りを誘うようなこのメロディーを引用するのは、なかなかセンスが良いと思います。

クラシック音楽の中ではマイナーな存在の作曲家エステンさんが、この事実を知ったなら、相当嬉しいのではと思います。

ドイツ人のピアノ曲のメロディーが、遠く離れた日本の各家庭のお風呂場で、毎晩鳴り響いていることは、不思議なことです。

③ コロナ石油ファンヒーター


我が家で冬に使っているのが、コロナの石油ファンヒーターです。

灯油が無くなる時だけ、クラシック音楽のメロディーが流れます。

その曲は、日本人なら誰もが知っているベートーベン作曲のピアノ曲「エリーゼのために」です。

この選曲には「何でだろう?」と感じてしまいます。灯油を足さない限り、最初の8小節のメロディーが延々と流れ続けます。

私の憶測なのですが、音楽には長調と短調があって、灯油が無い→悲しい→短調→エリーゼのために、となったのでは。

ちなみに、『エリーゼのために』はベートーベンが恋した相手のために作曲したと言われています。

灯油が少ないという合図として、恋する気持ちを込めた曲を使われるなんて、ベートーベンに同情してしまいます。   

コロナの音楽担当の方、かわりにドヴォルザークの交響曲第9番の第二楽章(遠き山に日は落ちて)はいかがでしょうか。

灯油が減っていく感じと夕暮れの雰囲気がピッタリだと思うのです。

④まとめ


今回は、我が家にある家電に使われているクラシック音楽を紹介しました。

長い時を経ても残ってきたクラシック音楽には、そのメロディー自体に魅力やパワーが宿っていると感じます。

家電の合図音としてクラシック音楽が使われることは、日常生活では当たり前になっています。

無機質なブザー音よりもクラシック音楽の方が心地よく、より文化的なのではないか、と感じます。

また、大手メーカーの社長さんはクラシック愛好者が多いそうです。(特に、日立の家電はモーツァルトが多いです。)

モーツァルトの音楽にはリラクゼーション効果もあると言われます。だから、消費者に対するサービス精神かもしれません。

他の大きな理由としては、著作権の問題でしょう。作曲家が亡くなっているので、現代の曲より自由に使えるからです。

家電メーカーがクラシックを様々に使っているのは面白いことだなぁ、と常々思っています。

         ミント音楽教室

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