ピアノの先生の専攻別の特徴


実は、ピアノの先生になるために、国家資格は要りません。

ピアノの先生のプロフィールでよく見かける『ピティナ指導者協会』も、会費を払えば誰でも入会出来るシステムです。

ピアノは他の楽器よりも需要があるので、音楽教室では、ピアノ専攻以外の人もピアノを教えているのが現状です。

特に、最近の傾向としては、幼児教育出身(元保育士さん)のピアノの先生の割合が増えています。

音楽系の学校は人気が無く、特にピアノ専攻の人数が激減して、若い人材が不足していることが、その理由の一つです。

ちなみに、私が子どもの頃に通っていた教室は、先生の入れ代わりが多く、色々なタイプの先生に教わりました。

自身の体験や同業者との交友関係も踏まえて、主な4つのタイプの特徴を紹介していきます。

その先生に習った場合に発生するメリット、デメリットも挙げています。

※情報として役立つように、公平でシビアな視点を心掛けて、あえてそれぞれの短所も正直に書き出しています。

また、管楽器などが専攻のピアノの先生も実際にいますが、直接交流が無いために省きました。

もちろん、当てはまらない例外のタイプの先生もいます。あくまでも大まかな特徴としてお読み下さい。

  • 目次
  •    ① ピアノ専攻
  •    ② 電子オルガン専攻
  •    ③ 幼児教育専攻
  •    ④ 声楽専攻
  •    ⑤ 3人のレンガ職人

①ピアノ専攻


●家にはグランドピアノがあることが多い。人によっては、2台持っている。

●ピアノの音の出し方が綺麗で、得意分野はクラシック音楽。

●ピアノを毎日何時間も練習したり、厳しい先生に師事した経験があるため、日々の練習の大事さを身を持って知っている。

●しっかりした基礎と自然な奏法を学べる。そのため、長く習っていれば、ある程度難しい曲が弾けるようになる。

●クラシック音楽以外のジャンルを弾く場合に、リズム感(ノリ)があまり良くない人が多い。※拍子の取り方が違うため

●楽譜に書かれた音楽を忠実に表現するのは得意だが、コードやアレンジなどに弱い人が多い。

●一つのことを長年続けてきて職人気質のため、応用力、企画力、ユニークな発想などに欠け、融通が利かない傾向がある。

●長年続けてきたため、ピアノへの情熱は人一倍である。ピアノの指導にも熱心だが、自分の練習の時間も大切にしている。

●つまり、『時に厳しいパーソナルトレーナー』タイプ。

②電子オルガン専攻


●家にピアノと電子オルガンがある。演奏時の身体の揺れ方が、ピアノ専攻の人よりもやや大きいのが特徴。

●得意分野はポピュラー音楽で、リズム感が良い。そのせいかカジュアルな雰囲気を持ち、流行曲への反応が素早い。

●レッスンでは、電子オルガン内蔵のリズムを使って合わせたりするので、アンサンブル能力が身に付く。

●電子オルガンでは早い段階からコードを習うため、コードやアレンジに強い。ジャズピアノを習っている人もいる。

●クラシックピアノの中級レベルは弾けるが、バッハの平均律や上級のピアノ曲は弾いたことがない人が多い。

●電子オルガンの鍵盤は、とても軽いために、ピアノで繊細な音、深い音、迫力のある音を出すのは、少しだけ苦手。

●電子オルガンは内蔵リズムに合わせて弾くスタイルのため、それに依存し、ややメトロノーム的な演奏になりやすい。

●幅広い音楽に対応してきたせいか、職人気質のピアノ専攻の人よりも、順応性に優れバランス感覚が良い人が多い。

●つまり、『楽しさを教えてくれる頼もしい先輩』タイプ。

※エレクトーンは、ヤマハの電子オルガンの商標のため、ここでは電子オルガンと記しています。

③幼児教育専攻


●家にアップライトピアノか電子ピアノがある。

●子どもが好きで常に笑顔。子どもに好かれ、明るく優しい雰囲気を持つ。子供の気持ちの変化を敏感に察知出来る。

●自宅や公民館などでリトミック教室をやっている人が多い。そこでは、動きやすいようカジュアルな服装をしている。

●大手教室で働く場合、グループレッスンの指導が得意のため、沢山のグループレッスンを持たされ、担当人数が多くなる。

●保育士の経験があるため、幼児の扱いに慣れている。子ども達の名前を覚えるのも早い。保護者への応対もスムーズである。

●ピアノの技術はあまり高くない。そのため、生徒さんのフォーム、タッチ、リズム感の悪さに気付かない場合がある。

●ピアノ歴が短く、弾ける曲は初級から中級の間のレベル。でも、生徒さんの進み方が遅い場合には、あまり支障が出ない。

●音楽関係の友人との交流が少なく、刺激を受けていない。専攻が音楽だった人と比べて、音楽の知識や経験値も低い。

●イベントなどでは、子どもをまとめるリーダーシップ、飾り付け、企画力などで本領を発揮する。楽しませ方が上手。

●つまり、『面倒見の良い優しいお姉さん(お母さん)』タイプ。

④声楽専攻


●フレーズの歌い方や感情表現を教えるのが得意。エネルギーが高く、おおらかな性格で、明るい雰囲気を持っている。

●歌うことには自信があるが、ピアノには自信が無く、実は苦手意識を持っている。(タイプA)

●元々ピアノを目指していて、途中から声楽に変更したので、ピアノの技術には結構自信がある。(タイプB)

●存在自体が華やか。歌が上手く会話の声も響く。表情が豊かで話好き。そのため、レッスンが雑談で脱線することもある。

●弾いている時に一緒に歌ってくれたり、曲の盛り上げ方が上手。音楽以外においても、周りへの影響力が大きいタイプ。

●細かいテクニックにはこだわらず、やや大雑把。流れや表現力を重視する。視点が違うため、曲の解釈がユニーク。

●つまり、『一緒にいると気分が上がるパワースポット』タイプ。

⑤3人のレンガ職人


こうやって書き出してみると、欠点があっても4つのタイプそれぞれに魅力的だと思いませんか?

また、生徒さんの性格、ピアノを習う目的、成長過程によっても、合う先生は違うかと思います。

イソップの寓話に『3人のレンガ職人』という話があります。

毎日同じ内容の仕事をしていても、仕事への意識の違いで10年後の運命が変わる、ということを揶揄する話です。

ピアノの先生も同じだと思います。先生の心掛け次第で、数年後の生徒さんの演奏には大きな差が生まれることでしょう。

3人目のレンガ職人のように志高く仕事をしている先生なら、出身は関係なく良い指導者に違いありません。

        ミント音楽教室

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『最近は幼児教育出身のピアノの先生が増えている?』https://www.mintpiano.net/blog/60185/

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