ピアノの適性とは?


ピアノの適性がある人とは、どんな人でしょうか?

耳の良さ、リズム感、指の運動神経、記憶力などに優れている生徒は、順調に上手くなれるのでしょうか?

私は、長年の指導経験で、たくさんの生徒さんにレッスンをしてきました。

生徒さん一人一人の長所、課題、言動、注意点などをノートに書き込み、その変化も確認してきました。

そんな長期間のピアノレッスンでの生徒さん達の成長記録から、意外なことが見えてきました。

もちろん、最初の段階から「この子は伸びそう。」と感じたお子さんが、順調に伸びてゆくケースもあります。

その一方で、実は、音楽の素質があっても案外伸びなかったり、逆のケースもあることが分かったのです。

だから、ピアノの上達には、元々の素質以外に、本人の気質(性格)なども、大きく影響するように思います。

そこで、友人のピアノの先生達や、ピアノが上手になった生徒のタイプや気質などを分析して、共通点を挙げてみます。

  • 目次
  •     ①ピアノが大好き
  •     ②1人でも平気
  •     ③コツコツ型
  •     ④ポジティブ思考
  •     ⑤気持ちが安定している
  •     ⑥表現力がある
  •     ⑦一番大事なのは?

①ピアノが大好き


ピアノが好きだと、練習も苦になりません。毎回、集中して楽しい気持ちで弾けるので上達が早くなります。

真面目に練習に取り組むというより、遊びに近い感覚です。地味な練習も目標のためと割り切ってこなせます。

ピアノの音が純粋に好きで、ポーンと一つの鍵盤を押して響きを聴いているだけでも、気持ち良く感じます。

また、街を歩く時やテレビを見ている時にピアノの音が流れてくると、その音に全集中してしまう傾向があります。

朝起きて「あーピアノ弾きたい!」と感じたり、「練習してたら時間が過ぎていて驚いた!」というタイプです。

②1人でも平気


ピアノのレッスンは、個人レッスンが基本で、自宅でも1人で練習しなければなりません。

楽器と性格の傾向を分析した本によると、ピアニストの特徴は、「孤独に強い」そうです。 

確かに、寂しがり屋の人はいません。
周りに左右されないマイペースタイプで、少しだけ変わりものが多いです。

また、ピアノ曲には連弾やアンサンブル曲もあるものの、独奏曲(ソロ)が圧倒的に多いのが特徴です。

つまり、1人きりで音楽を作り上げる必要があるのです。良くも悪くも、100パーセント自己責任という楽器なのです。

もし、常にグループでいることが好きなタイプなら、ピアノより吹奏楽で使われる管楽器などが合うでしょう。

●ピアノを弾く人は孤独に強くて、
 人間の声より楽器の音が好き?
https://www.mintpiano.net/blog/45341/

③コツコツ型


ピアノは、毎日練習しないと上達はしません。1日休むと3日戻ると言われる世界です。

ピアノを弾くための指の感覚や筋肉は、練習しないとすぐ落ちます。日常生活において、似た動きが全く無いからです。

だから、練習が日常の一部になるくらいに、毎日コツコツ練習して身体に覚えさせる必要があるのです。

2才から英才教育を受けた友人は、「私にとってピアノを弾くのは食べることと同じ感覚。」と言っていました。

でも、最初は練習をサボり気味でも、ピアノを続けるうちにコツコツ型になるタイプもいます。(実は私です)

●究極のコツコツ型!?
 ピアノと卓球の共通点とは?
https://www.mintpiano.net/blog/42035/

④ポジティブ思考


ピアノを続けていくと、テクニックもどんどん難しくなり、簡単に弾けない事も多くなります。

レッスンも厳しくなり、傷付く言葉を先生から言われたり、友人のすごい才能を見て、自分の限界を感じたりもします。

ポジティブじゃないと、テクニックの壁にぶつかったり、本番の失敗などで、自信を喪失して気持ちが折れやすいです。

そんな時でも、自分の気持ちを上手に切り替えられて、「いつかきっと弾ける!」と思うような楽天家が望ましいです。

ピアノが弾けるまでの道のりは、マラソンのようなものです。そのプロセスを楽しめないと、辛くなります。

だから、意外かもしれませんが、完璧主義で真面目過ぎるタイプは、ピアノに向いている性格とは言えません。

レッスンはおろか、家での練習時でさえも、弾けないことにストレスを強く感じてしまうからです。

そんなイライラした気持ちから出るピアノの音は、伸びやかさに欠け、余計な力が入るためにミスも多くなりがちです。

ピアノを続けるということは、『出来ない自分と常に向き合い、目の前の課題に集中して乗り越えること』です。

才能のある友人ですら、「レッスンで、プライドが傷つくどころか粉々になっている!」と笑い話にするほどです。

今は弾けなくても、その状態がずっと続くわけではないのです。

私は、世界的なチェリストのカザルスの言葉が気に入っていて、心の支えにしています。

インタビューで、「なぜ、名声も富も十分あるのに、90才を超えても毎日何時間も練習しているんですか?」と聞かれ、

「私はチェロが少しでも上手くなりたいからだよ。」と答えたそうです。

修行僧のようにも見えるストイックさの原点は、少年のような純粋な気持ちなんだなぁ、と思いました。

ピアノ上達のためにも、日頃からポジティブ思考を心掛けましょう。

ちなみに、ピアノの専攻の人達の性格は、次に挙げる三つのタイプが多いです。それぞれ雰囲気が違います。

●ポジティブ思考のストイック型
●ちょっと鈍感なマイペース天然系
●打たれ強い負けず嫌いタイプ 

あなたは、どのタイプに近いですか?

●血液型はB型が多い?
https://www.mintpiano.net/blog/40778/

⑤気持ちが安定している


ピアノには、気持ちが安定しているタイプの方が向いています。

気分屋さんは、その日の気分によってピアノを弾いたり弾かなかったりするために、練習の効果が上がりません。

スポーツと同じです。上手になる人は感情の波に引きずられずに、日々のルーティンワークを淡々とこなせる人です。

感情が激しすぎる人は、感受性が強くて音楽に向くように思うかもしれませんが、ピアノという楽器には向きません。

なぜなら、喜怒哀楽が極端な人は、気分により音や表現が崩れてしまい、演奏を常に一定のレベルに保てないからです。

ピアノは、メロディーを歌いながらも、同時に伴奏も担当してリズムを刻むために、心のバランス感覚も必要なのです。

ピアニストは、芸術家であると同時に職人です。ピアノを使って指揮して演奏する1人オーケストラのようなものです。

つまり、上達するタイプは、感性豊かでありながらも、一歩引いて全体像を見られる冷静さを合わせ持つ人が多いです。

⑥表現力がある


小さい時は、楽譜通り弾けるだけで、みんなチヤホヤしてくれます。

でも、ピアノ演奏は楽譜のデータを正確に人力することではありません。『音を使っての自己表現』なのです。

棒読みのような演奏を発表会などで聴くと、残念に思います。音楽は、もっとリズミカルで立体的で楽しいものです。

ピアノの演奏には、指の運動神経や筋力などアスリート的要素も必要ですが、感性や想像力も非常に大事です。 

音楽を表現することは、俳優さんが台本を読み込んで、キャラクターを作っていくことにも似ています。

ピアノ教師の友人達も、弾いている曲に対する様々な情報収集を苦もなく自然に出来ている人が多いです。

また、勉強やスポーツと同じで、自分で考えて工夫したり、自分の言葉や身体で表現出来る人は、演奏も一味違います。

実は、そういう『物事に対する積極的な姿勢や探求心』が音楽表現の上で、説得力やユニークさを生むのです。

⑦一番大事なのは?


しかしながら、ずっとピアノと関わってきて感じるのは、一番大事なのは「ピアノが大好き」という気持ちです。

どんな分野であっても『好きという情熱が上達への原動力になる』ことは間違いありません。

例えば、音楽の才能、指の運動神経、筋力などは、車のフレームだと想定しましょう。カッコいい車は見栄えがします。

でも、強い情熱は、車のエンジンのような役目をします。たとえ車が素晴らしくても、エンジン無しでは走りません。

エンジンが大きくてフル稼働出来るならば、見た目がイマイチの車だとしても、とても遠くの場所まで行けるのです!

だから、もし、あなたがピアノが大好きで仕方ないなら、『ピアノの適性がある』と言えるでしょう。

         ミント音楽教室

最近、こんな記事も書きました。
『コンサートピアニストになるための必須条件とは?』
https://www.mintpiano.net/blog/84717/

※この記事を盗作してHPに掲載しているピアノ教室があります。直ちに削除、または出典元の記載をお願いします。

『記事を盗作している同業のピアノの先生へ伝えたいことは?』
https://www.mintpiano.net/blog/49781/

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