絶対音感について

  • 目次
  •    ①音感ミニ知識
  •    ②絶対音感のメリット
  •    ③絶対音感のデメリット
  •    ④理想の音感とは?

①音感ミニ知識


みなさんは、『絶対音感』という言葉を聞いたことがありますか?

絶対音感とは、『鳴った音を正確に識別する能力のこと』です。

世間では、すごい能力のように思われますが、音楽的な観点からは、便利だけれど最重要項目ではありません。

確かに、絶対音感教育を目玉にしている音楽教室も数多く存在し、「音楽の才能が伸びる!」と宣伝しています。

バラエティーの音楽特集でも、絶対音感の人が登場し、音を当てたり演奏すると「スゴい!」と言われます。

ピアノ経験が無いママ達が、「子どもに絶対音感を付けさせたいよね!」と話しているのを聞いたこともあります。

しかし、音楽的な良い耳とは『音色、強弱、和音、リズム、フレーズ、調性などの聴き分けが出来る耳』です。

また、『絶対音感』に対して『相対音感』という音と音の距離が分かる能力もあり、それも大事な音感です。

つまり、絶対音感、相対音感、その他の様々な聴力がバランス良く揃って初めて、音楽的に優れた耳と言えるのです。

残念ながら、絶対音感は、音楽を聴き分ける様々な能力の中のたった1つの項目に過ぎません。

例えば、スポーツテストをイメージして下さい。1つだけ抜群でも、他のスコアが悪い人は運動能力を発揮出来ません。

絵の世界に例えると、絶対音感とは色を即座に識別出来る能力です。絵の表現力とは別物だと思いませんか?

曲のイメージをつかみ取り、繊細な音色を聴き分けて、それを再現出来る能力の方が、演奏面では大事です。

また、絶対音感にも個人差があり、生活環境、訓練、音楽経験、年齢などでも、どんどん変化していくものです。

②絶対音感のメリット


・音がすぐ分かるので、曲の覚えがとても早い。音に対しての集中力も高く、暗譜も苦労しない。

・音楽系の高校や大学の入試には、必ず聴音試験(聴こえた音を五線紙に書き込むテスト)があるので、有利になる。

・聴いた曲を耳コピー出来るので、楽譜が無くても弾くことが出来る。

・音の高さに敏感なため、語学のリスニングも出来て習得も非常に早い。※

※これは、音楽教室の広告のキャッチフレーズとして広く使われていますが、私は非常に懐疑的です。

それには、事実に裏付けられた理由があります。

ピアノ専攻の7割程度は、絶対音感を持っています。だとすれば、ピアノの先生達は皆英語が得意なはずです。

しかし、同級生や同業者など周りを見渡してみても、英語が使える人は、ほとんどいません。

残念ながら、英語が出来る人は、留学経験のある人、元々学力の高い人、英語オタクの人など、ごく少数なのです。

外国語には日本語にない特殊な発音があり、子音の種類も沢山あるため、絶対音感だけでは聞き分けが難しくなります。

だから、語学力に影響を与えるのは、絶対音感ではなく、総合的な耳の感度とリズム感の良し悪し、と感じています。

また、不思議なことに、声楽専攻は絶対音感より相対音感を持つ人が多いのですが、語学に強く発音の真似が上手です。

声楽の人は言葉を伝える必要があるために、語感を聴き分ける聴力が、より敏感で優れているからだと思います。

④理想の音感とは?


絶対音感の主なメリットとデメリットを挙げましたが、どう感じましたか?

絶対音感は、両刃の剣になります。良いことばかりではないのです。

絶対音感が強過ぎると、生活音でさえドレミで聴こえて、ストレスを感じ脳が疲れやすいのだそうです。  

全ての音を常に測定しているような絶対音感の耳は、音楽を自然に聴けず、ある意味不幸かもしれません。

ほどほどの絶対音感を持つことが、生活面や精神面でもバランスが良いと言えるでしょう。

また、『絶対音感は最終的な演奏を左右するものではない』ということも、頭の隅っこに置いて下さい。

音楽家の中でも、絶対音感が無い人もいます。演奏では、表現力やリズム感などのほうが大事だからです。

だから、絶対音感が無くてもガッカリすることはありません。相対音感や他の耳の感度を上げていけば良いのです。

自分を振り返ると、聴音をしていた学生時代の方が絶対音感が強かったものの、耳の使い方が片寄っていた気がします。

そんな理由から、当教室ではバランスの良い耳を作ることに重点を置き、音感教育は遊び風のクイズ形式にしています。

楽しく音楽を学びながら次第に耳が鋭敏になり、様々な音感が自然に身に付いているのが理想だと考えています。

         ミント音楽教室

●耳の良い人が多いから、ボイス101緊急指令室で働けるかも?
https://www.mintpiano.net/blog/45762/

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